【背景】膵切除は侵襲が大きく,広範囲な術式では特にQOLを低下させる.倦怠感はQOLに関連する症状であり,患者の多くが経験する半面,仕方のない症状と受け取られがちである.【目的】膵切除術後3ヶ月の患者の倦怠感の関連因子を検討する.【方法】膵切除術患者77名を対象に,倦怠感と肝胆膵領域に特異的な症状,生理的指標との関連を統計学的に検討した.【結果】術後3ヶ月における患者の倦怠感は,消化不良,容姿の変化,体に力が入らない,吐気などの自覚症状(r=0.236,P=0.039),体重や筋力の低下(r=-0.361,P=0.014),急激な栄養状態の悪化(r=0.290,P=0.010),および抑うつ(r=0.489,P<0.001)と関連していた.【結論】術後3ヶ月の倦怠感の軽減には,自覚症状に対するマネジメント,術後早期からのリハビリ,術前からの栄養管理,精神的ケアが有効である可能性がある.