家族性膵癌家系(一対以上の第一度近親者に膵癌患者のいる家系)の人々は,膵癌発症リスクが有意に高い.日本膵臓学会では,2014年から全国規模の家族性膵癌レジストリを運用しているが,家族性膵癌レジストリにより自らが膵癌高危険群と知った方へ説明するサーベイランス法のコンセンサスを得ることを目的とした.膵癌の画像診断・遺伝子診断に関するエキスパートのワーキング・グループを形成し,①膵癌高危険群の定義,②膵癌高危険群の初回検査法,③膵癌高危険群の経過観察法,に関する22のステートメントを作成した.それぞれのステートメントについて,日本膵臓学会評議員による賛否の投票を行ったところ,21のステートメントについて,75%以上の合意を得たため,エキスパート・コンセンサスとした.本エキスパート・コンセンサスを用いることにより,家族性膵癌の早期診断・予後改善に寄与することを期待する.