膵臓
Online ISSN : 1881-2805
Print ISSN : 0913-0071
ISSN-L : 0913-0071
症例報告
膵癌化学療法中にTrousseau症候群及び癌性髄膜炎を発症した1例
佐野 裕亮上野 誠長島 周平河野 邦幸田中 聡福島 泰斗浅間 宏之小林 智森本 学
著者情報
ジャーナル フリー

2020 年 35 巻 4 号 p. 336-343

詳細
抄録

症例は66歳女性,上腹部痛を主訴に近医受診.腹部CTで多発肝腫瘤,膵体部腫瘤を認め,膵腫瘤の超音波内視鏡下穿刺吸引術による組織診で,通常型膵管癌と診断した.化学療法目的で当院紹介となり,gemcitabine+nab-paclitaxel(GnP)療法を開始したが,治療開始後8日目に右不全麻痺,構音障害が出現し,頭部MRIで脳梗塞を認めた.その後,症状は自然に改善し,GnP療法再開後も,脳梗塞の再燃は認めなかった.GnP療法開始4ヶ月後,腫瘍マーカーの再上昇,脊椎転移が出現し,二次治療としてmodified FOLFIRINOX(mFOLFIRINOX)療法を施行した.同療法開始3ヶ月後,嘔気,食欲低下,膀胱直腸障害が出現した.脳脊髄液検査より腺癌細胞を認め,癌性髄膜炎と診断した.その後,徐々に意識レベルが低下し,治療開始約7ヶ月後に永眠された.

著者関連情報
© 2020 日本膵臓学会
前の記事 次の記事
feedback
Top