膵臓
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症例報告
SCNとIPMNが隣接併存した嚢胞性膵腫瘍の一切除例
中村 直人甲津 卓実松林 潤中山 雄介北口 和彦浦 克明豊田 英治大江 秀明廣瀬 哲朗白瀬 智之土井 隆一郎
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キーワード: SCN, IPMN, 嚢胞性膵腫瘍
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2020 年 35 巻 6 号 p. 575-582

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抄録

症例は59歳女性.人間ドックで嚢胞性膵病変を指摘され当院へ紹介された.腹部造影CTで膵尾部に50×30mmの多房性嚢胞性病変を認めた.中心部の嚢胞には早期相で濃染する充実成分を認め,周囲をより大きな嚢胞が取り囲む分葉状形態をとっていた.MRIではT2強調画像で高信号を呈する多嚢胞性病変として描出された.EUSでは嚢胞内結節,蜂巣状構造を認め,ERPにより主膵管と交通する嚢胞を認めた.膵液細胞診はClass IIであった.以上よりSCN(microcystic type)あるいはIPMN(gastric type),またその併存の術前診断のもと,膵体尾部切除術を施行した.病理組織学的検査はSCNとIPMNの併存であった.本例は異なった種類の嚢胞性腫瘍が隣接併存した非常に稀な症例と考えられた.嚢胞性膵腫瘍の診療では異なる腫瘍の併存も念頭におき,精度の高い診断と適切な治療を行うことが肝要である.

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© 2020 日本膵臓学会
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