膵臓
Online ISSN : 1881-2805
Print ISSN : 0913-0071
ISSN-L : 0913-0071
症例報告
超音波画像で高エコー主体の腫瘤像を呈した小型Solid-pseudopapillary neoplasmの1例
與那嶺 圭輔越田 真介菅野 良秀小川 貴央枡 かおり楠瀬 寛顕酒井 利隆宮本 和明村林 桃士小堺 史郷遠藤 和樹野田 裕伊藤 啓
著者情報
ジャーナル フリー

2020 年 35 巻 6 号 p. 583-591

詳細
抄録

症例は47歳,男性.他院健診の腹部超音波にて脾門近傍に腫瘤性病変を指摘され当院紹介となった.造影CT検査では膵尾部に15mm大の内部に点状の石灰化を伴う遅延性濃染を示す腫瘤を認めた.MRIではT1WIでやや低信号,T2WIでやや高信号を示した.EUSでは内部を中心として大部分が高エコー,周囲が低エコーを示す腫瘤を認めた.超音波内視鏡下穿刺吸引法を施行し,HE染色では偽乳頭状構造を認めたが,免疫染色ではβ-カテニンは核内陰性でsolid-pseudopapillaly neoplasm(SPN)の確定診断には至らなかった.手術を施行し,切除病理組織ではβ-カテニンは核内陽性であったため,SPNと最終診断した.SPNは若い女性に好発する比較的まれな膵腫瘍であり,典型例では厚い線維性被膜を有する球形腫瘍で,充実部分と嚢胞部分が共存することが多く,超音波では内部は不均一となる.今回我々は超音波画像で高エコー主体の腫瘤像を示し,鑑別に苦慮した小型SPNの1例を経験したので報告する.

著者関連情報
© 2020 日本膵臓学会
前の記事 次の記事
feedback
Top