膵臓
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特集 グローバルな視点からみた膵疾患update
膵炎の組織学的診断基準
―国際コンセンサスと課題―
能登原 憲司
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2021 年 36 巻 4 号 p. 212-219

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抄録

膵炎の病理診断の現状,問題点について,グローバルな比較を含めて考察した.自己免疫性膵炎(AIP)には国際コンセンサス診断基準(ICDC)があり,本邦AIP臨床診断基準2018もそれに準拠しているが,生検診断を考慮したため,組織所見は一部異なっている.さらに,今後増加する膵生検に対応するため,本邦ではAIPの生検診断のためのガイダンスが公表されている.2型AIPの診断的所見はgranulocytic epithelial lesion(GEL)であるが,本来は小葉間膵管にみられる所見で,生検で採取される小葉内の病変をGELと呼んでよいかコンセンサスはない.慢性膵炎国際コンセンサスガイドラインの組織病理についてのガイドラインが公表され,現状の慢性膵炎組織診断についての問題点が病理医の合意として表明されている.解明すべき課題として,早期慢性膵炎の病理像や無症候性線維化との鑑別方法などがある.

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© 2021 日本膵臓学会
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