2022 年 37 巻 5 号 p. 251-256
2016年の急性膵炎全国調査では,発症2週間以降の重症急性膵炎の致命率は,2011年と比較して改善を認めず,発症後期に問題となるwalled-off necrosisなど局所合併症の治療には改善の余地があると考えられた.これらを背景として,『急性膵炎診療ガイドライン2021』では,膵局所合併症に対するインターベンション治療についての記載が大幅に改訂された.改訂のポイントとして,感染性膵壊死に対してインターベンション治療を行う場合は,発症4週以降に内視鏡的ステップアップ・アプローチを行い,それが困難な場合には外科的ステップアップ・アプローチを選択し,外科的ネクロセクトミーを行う場合には後腹膜ネクロセクトミーを選択することが提案された.主膵管破綻症候群の治療では,超音波内視鏡下ドレナージなど内視鏡的治療が奏効しない場合に,膵切除術,膵管空腸側々吻合術,嚢胞空腸吻合術などの外科治療が行われる.