2022 年 37 巻 5 号 p. 257-264
【背景】高頻度マイクロサテライト不安定性(MSI-H)を有する固形癌に対するペムブロリズマブの有効性が報告された.膵癌診療ではMSI検査を念頭に置いた適正検体の採取が重要であるが,MSI検査の解析不能に影響する因子は明らかにされていない.【方法】Endoscopic ultrasound-guided fine-needle aspiration(EUS-FNA)で膵癌と診断した症例のMSI検査結果を前向きに集積した.【結果】MSI検査は73例中72例(98.6%)で解析可能でMSI-Hは1例だった.解析不能の1例はEUS-FNAからMSI検査まで584日を要し,検体のDNA分解が解析不能の原因であった.【考察】EUS-FNA検体を用いたMSI検査は高い解析成功率を有し,解析不能に影響する因子は同定できなかったが,検体の長期保存例はDNA分解による解析不能が生じる可能性が示唆された.