日本海水学会誌
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湖沼の堆積物コアから読み取る人間活動の影響:
佐鳴湖を例にして
谷 幸則森田 陽光坂田 昌弘大橋 典男槻木(加) 玲美後藤 敏一
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2011 年 65 巻 5 号 p. 264-271

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抄録

静岡県浜松市の佐鳴湖から採取した堆積物コア中のリン,重金属(Cr,Zn,Pb,Cd,Co,Ni,Cu),光合成色素,珪藻殻を分析し,湖への人間活動の影響を評価した.コア中のリンと重金属の濃度は,コア上部で有意に高く,これらの人為的な負荷を意味している.その下部では,それらの濃度は低く,その値を人為的な影響がないバックグラウンド濃度として,湖全体の堆積物に残余している人為的な元素負荷総量を見積もった.植物プランクトン量を示す堆積物中の総クロロフィルa濃度,総カロテノイド濃度もコア上部で高く,また,同時にカロテノイド相対値に変化が見られたことから,植物プランクトン組成の変化を伴った富栄養化が生じたことを示唆する.珪藻殻と間隙水塩化物イオン濃度の分析によって,塩分が上昇してきたことが示唆され,おそらく新川放水路建設による海水遡上量の増大と集水域の都市化による淡水供給量の減少によると考えられた.堆積物コア中の複数の指標を分析することによって,佐鳴湖の水環境と生態系に与えてきた人為的な影響を示すことができた.

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© 2011 日本海水学会
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