日本海水学会誌
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海水中からストロンチウムを除去するための吸着繊維の作製
原山 貴登海野 理内山 翔一朗杉山 まい藤原 邦夫須郷 高信浅井 志保小島 隆梅野 太輔斎藤 恭一
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2012 年 66 巻 5 号 p. 295-300

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抄録
放射線グラフト重合とそれに続く化学修飾によって,海水からストロンチウムを除去するための2種類の吸着繊維,すなわち,イミノ二酢酸基型キレート繊維およびチタン酸ナトリウム担持繊維を作製した.回分法によって海水からのストロンチウム除去を評価し,これらの吸着繊維が従来のキレート樹脂ビーズやチタン酸ナトリウム粒子に比べて,吸着速度が大きいことを示した.海水中でのストロンチウム,カルシウム,およびマグネシウムの濃縮係数を算出したところ,チタン酸ナトリウム担持繊維が,キレート繊維に比べて,海水中でカルシウムやマグネシウムよりもストロンチウムに高い選択性をもつことがわかった.海水に対するチタン酸ナトリウム担持繊維の重量比が100のとき,海水中でのストロンチウム,カルシウム,およびマグネシウムの濃縮係数は,それぞれ600, 190, and 18 mL/gであった.
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© 2012 日本海水学会
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