2016 年 70 巻 6 号 p. 371-375
食用塩に添加されているフェロシアン化物イオンを省力的に測定することを目的として,フローインジェクション分析法(FIA)による多検体の連続的な自動測定を検討した.本方法は,反応試薬であるフェリインが,フェロシアン化物イオンによって発色する反応を利用したものであり,その発色の吸光度を測定することでフェロシアン化物イオンを定量することができる.本研究では,試料の導入,流路の切り替えを自動化し,さらに自動解析における精度向上を図るため,フェロインの濃度,試料溶液の濃度およびpHの影響を検討して測定条件を確定した.確定した測定条件で,市販塩のフェロシアン化物イオンを測定したところ,従来法であるプルシアンブルー吸光光度法の定量値と良好に一致し,フェロシアン化物イオンの多検体連続自動測定が可能となった.