日本海水学会誌
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蛍光X線分析法を用いる環境水中の全リンの定量
環境分析に関する研究 (第46報)
岩谷 浩樹前田 嘉道安積 敬嗣
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1989 年 43 巻 4 号 p. 212-217

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抄録

鉄 (III) 再沈殿法を用いて蛍光X線分析法により環境水中の全リンを定量する方法について検討した. その結果を要約すると,
1) 検水に鉄 (III) 沈殿剤を3.0mg加え, pH 5に調整すると, 有機態リン酸は無機態のリン酸と同様に定量的に沈殿する.
2) 直接法では共存塩や検水量の影響を受けて蛍光X線の強度が変動するため, 検量線法では精度よく定量できない.
3) 再沈殿法を用いると共存塩や検水量に関係なく一定のX線強度を示し, 検量線法で定量可能である.
4) 検水500mlを用いたときの検出限界は1.2μg/l, 定量下限は4.0μg/lである.
5) 海水, 河川水, 雨水等の環境水中に含まれる微量の全リンの定量に本法が利用できる.

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