日本海水学会誌
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石油流出の環境影響と対策
大久保 勝夫
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1991 年 45 巻 5 号 p. 267-275

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抄録

1) 石油の水産生物への有害性は, 一般の有害物のように有害度を数値で示すことは難しいが, 石油に対する海産生物の耐性は, おおよそ植物プランクトン<動物プランクトン<魚卵・稚仔<魚の順である.
2) 海洋における石油汚染の発生件数は横ばいで, 船舶からのものが大部分である.
3) 流出油処理には毒性のおそれのない物理的方法が望ましいが, 現場の実状は油処理剤に頼らざるをえない.
4) 油処理剤の毒性は, 新型になって飛躍的に改善されたが, このことが一般には正しく認識されていないのではなかろうか.
5) トレー・キャニオン号事故では, 岩礁地帯の油を油処理剤で洗滌して, 沿岸生物に甚大な被害が出た.
ジュリアナ号事故では, 当時の気象, 海象その他の条件からみて, 油処理剤を使用しなくても油は自然消滅したかもしれない.
水島重油流出事故では, 対象がC重油で, 油処理剤の性能を考えると効果は期待できなかった.
これら三つの事故とも, 現場に油処理剤の特性が理解されていなかったという印象がある
6) 流出油事故の場合, 処理可能な限界のスケールがあると思われる

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