界面分子インプリント法により, リチウムに対して高い選択性を示す新規吸着剤を調製した. 本手法では, W/O型エマルションの油水界面が金属イオンの認識場となって機能性分子が組織化され, 対象金属に対して親和性の高い結合部位がマトリックス表面に固定化される. 機能性分子としてはβ-ジケトン系抽出剤を, 協同試薬として酸化ホスフィンを使用した. 両試薬を単独で組み込んだ樹脂はいずれもリチウム吸着能を示さなかった. しかしながら, 両試薬を混合して調製した鋳型樹脂はリチウム吸着能と選択性を示した. 本報は, 協同効果を分子インプリントの手法で発現させた最初の例である. 協同系におけるリチウム吸着能の発現は, 界面場で安定なリチウム抽出錯体種の形成と, その効率的な固定化によるものと推察される.