日本海水学会誌
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濃度分極モデルに基づく逆浸透法海水淡水化プラントの性能シミュレーションに関する研究
谷口 雅英木原 正浩山村 弘之栗原 優
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2002 年 56 巻 3 号 p. 247-255

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抄録

逆浸透膜分離法は, エネルギー効率が高いことから海水の脱塩などの用途に広く用いられている. 近年, 筆者らは, 濃縮水昇圧2段法と称する高効率の新しいプロセスを提案した. 本プロセスは, 従来の1段法プロセスの濃縮排水を2段目逆浸透膜の濃縮排水エネルギーを用いて約10MPaまで昇圧し, 2段目の逆浸透膜でさらに淡水を回収することにより, 淡水回収率を従来の40%から60%に向上させるものである. 本プロセスの実現のため, 当社では高圧力下で使用可能な新しい海水淡水化用逆浸透膜 (UTC-80BCM) を開発し, 当社愛媛工場内に設置した試験プラントにおいて, 種々の条件で運転実験を重ねてきた. 本研究の目的は, 逆浸透法海水淡水化プロセスにおける性能計算の手法を確立することにあり, そのために, まず, 当社の海水淡水化逆浸透膜 (UTC-80, 及びUTC-80BCM) を用いたスパイラル型海水淡水化膜エレメント (SU-820, 及びSU-820BCM) について, 種々の膜性能や物質移動係数を測定した. 次に, これらのデータを用い, 実験的に求めた温度や圧力の変動に対する膜性能の依存性を考慮して濃度分極モデルに基づいた計算プログラムを開発し, 最後に本プログラムを用いて, 種々の運転条件における試験プラントの運転性能データを取得し, 計算プログラムによる計算値と実験値との比較検証を行い, 両者の問に良い一致が得られることを確認した. 本研究の結果から, 本計算手法を用いることにより, 種々の運転条件におけるプラントデータから, 膜ファウリングの原因を見出すための膜輸送パラメータの取得や, プロセスデザインに必要なプラント性能の予測を行うことが可能となる.

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