抄録
塩酸オキシテトラサイクリン (OTC) や免疫賦活剤の投与が, ヒラメ腸内細菌の数や組成に及ぼす影響について調べた. OTC投与が腸内細菌の数や組成に及ぼす影響は軽微であったが, それは同耐性菌の出現を誘起した. ラクトフェリン (LF), フコイダン (Fu), γ-オリザノール (γ-OR) の投与は, 腸内のStreptococcus sp.(LF投与試験では, 当該菌の検出はなく, 挙動不明) やEnterobacteriaceaeの比率低下, Vibrio sp. の比率上昇を誘導した. V. anguillarum感染実験では, LF投与はEnterobacteriaceaeの比率低下やVibrio sp. に占めるV. anguillarumの比率低下に加え, 生残時間の延長, 瀕死魚の肝臓や脾臓中の細菌数の減少等を導いた. 上記結果は, 食や環境の安全. 安心に配慮した魚病の治療・予防には, OTCよりも, LF, Fu, γ-OR等の免疫賦活剤の使用が良いことを示唆する.