大気環境学会誌
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原著
自動車排気ガスのOHラジカル反応性および微量成分分析
亀井 成美中嶋 吉弘山崎 晃司長田 拓也宮崎 洸治加藤 俊吾石井 康一郎今野 秀徳小林 伸治梶井 克純
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2010 年 45 巻 1 号 p. 21-31

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抄録

最新の自動車排出ガス規制である2005年排出規制適合車の排気ガスについて、レーザーポンプ・プローブ法を用いたOHラジカル反応性測定および各種微量成分分析を行った。排気ガス中微量成分の濃度は、自動車の走行条件、触媒やエンジン温度およびエンジン負荷の大きさに対する依存が見られた。2005年排出規制適合車では、全走行モードで排気ガスのOHラジカル反応性を測定した結果、計算値と実測値との間に4から60%の差異が見られた。この結果は自動車排気ガス中に未知の微量成分が存在することを示唆している。JC08Cモードは他の走行モードと比べてOHラジカル反応性も非常に高くなった。したがって、大気質の環境を向上させるには、JC08Cモードの排気ガス浄化能を高めることと、未知の微量成分とそのOHラジカル反応性を調べることが特に重要である。比較のため2000年排出規制適合車両についても同様の実験を行った。2000年排出規制適合車の排気ガスのOHラジカル反応性は、2005年排出規制適合車と比べて約30から98倍高くなった。実際に使用されている自動車は、2005年以前の排出ガス規制適合車の方が多いと考えられる。そのため、使用過程車に対する排気ガス対策が重要である。

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© 2010 社団法人 大気環境学会
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