大気環境学会誌
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原著
淀川流域の気象・水文モデル化に適用するダウンスケールしたメソスケール降水量の検証
Kundan Lal Shrestha近藤 明加賀 昭和井上 義雄
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2010 年 45 巻 2 号 p. 81-88

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抄録

気候変動に対する河川流域の影響を予測するためには、地域気象モデルと水文モデルを統合することが不可欠である。大気モデルは、降水と蒸発散によって水文モデルの地表面過程と結合される。日本の地域規模では、降水の空間精度が、地表流を含む全体的な水循環を正確に予測する上で決定的となる。この研究では、淀川流域の降雨を、3km格子を用いたWRFメソ気象モデルを用いて高解像度に計算し、さらに標高を加味して1km格子にスケールダウンし、レーダーGPVデータとティーセン法により1km格子に分割された観測データと比較、評価をした。WRFによって計算された淀川流域の2006年1年間の全流域および支流域の積算降雨量は、観測された積算降雨量を精度よく再現できた。降雨の時間変動も、琵琶湖周辺で僅かに過大である点を除いて再現することができた。また、降雨の空間変動も、山岳地帯で降雨が増加する現象を再現することができた。
以上の結果より、WRFによる降雨計算は、気候変動による淀川流域の水文-気象の将来予測にとって、十分に有効であることが示された。

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© 2010 社団法人 大気環境学会
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