大気環境学会誌
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集約酪農地域における大気中アンモニア鉛直分布の2年間の観測
寳示戸 雅之林 健太郎松浦 庄司神山 和則
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2010 年 45 巻 4 号 p. 166-170

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抄録

栃木県北部の集約酪農地域において大気中のアンモニア(NH3)濃度の鉛直分布を2年に渡り観測した.観測にはパッシブサンプラーを用い,地表40 mまでの2週間平均濃度を測定した.2年間の平均濃度は地上5.7 mで最も高く(26.5 μg NH3 m-3, 0 °C and 1013 hPa),地上40 mで最も低かった(15.4 μg NH3 m-3).地上40 mのNH3濃度は暖候季(4~9月)に高く(19.1~19.7 μg NH3 m-3),寒候季(10~3月)に低い(11.4~11.7 μg NH3 m-3)という明瞭な季節変化を示した.一方,低高度ではNH3濃度の季節変化は明瞭ではなく,畑や草地への堆肥施用などの農業活動の影響を受けたと考えられる.最下層(地上1.0~5.7 m)を除いてNH3濃度の勾配は概ね発生の傾向を示し,本地域は通年的なNH3の発生源であった.

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© 2010 社団法人 大気環境学会
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