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大気環境学会誌
Vol. 46 (2011) No. 2 P 119-123

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http://doi.org/10.11298/taiki.46.119

ノート

関東地域のPM2.5に与える長距離輸送の影響を調べることを目的として、東京の郊外に位置する多摩地域において、2010年2月20日から4月22日の間、PM2.5およびその無機イオン成分濃度の観測を実施した。PM2.5質量濃度の測定は、フィルター振動法(TEOM)により行い、除湿システムを取り付け、センサー部の温度を35℃に設定した。さらに24時間毎にPM2.5をフィルターに捕集し、無機イオン成分濃度の測定を行った。観測期間中、PM2.5の平均値は13 μg m-3、日平均値の最大値は32 μg m-3であった。測定した無機イオン濃度の総和がPM2.5濃度に占める割合は期間平均で49%であり、その中でSO42-の占める割合が最も高かった。大規模黄砂の影響を受け3月20日にPM2.5の顕著な増加が見られた。この時、Ca2+およびSO42-が期間最大値を示し、黄砂粒子および硫酸アンモニウム粒子等の長距離輸送に起因する増加と考えられた。全期間の後方流跡線解析から、大陸の汚染物質排出量が多い地域に起点を持つ気流時には、それ以外の気流時に比べPM2.5、SO42-、NH4+が有意に高く、その原因は東京のローカルな汚染よりも、大陸および西日本からの長距離輸送によるものである可能性が示唆された。本観測では、硝酸塩粒子の長距離輸送の影響は顕著には見られなかった。

Copyright © 2011 社団法人 大気環境学会

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