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大気環境学会誌
Vol. 46 (2011) No. 2 P 70-76

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http://doi.org/10.11298/taiki.46.70

総説

2006年以降、PM2.5の環境基準値またはガイドライン値が米国、WHO、日本等で設定された。そのリスク評価は、疫学的および毒性学的レビューに基づくものである。PM2.5の健康影響を明らかにした疫学研究は、ハーバード6都市研究、アメリカ対がん協会研究が1990年代半ばまでに相次いで報告され、以降、それらの拡張研究、再解析研究、あるいは他の前向きコホート研究により、10-15μg/m3 周辺の比較的低濃度のPM2.5曝露が心血管疾患死亡と関連することが示唆されている。また短期曝露影響についても、北米での複数都市研究で心血管疾患死亡との関連が観察されている。しかしながら日本では、このような低濃度PM2.5曝露群を含む集団での疫学知見はない。またこれまで実施された調査の報告では、心血管疾患との関連は観察されていない。心血管疾患による死亡の構造あるいはその危険因子の分布パターンが、日本とアメリカで異なることはよく知られており、日本で、低濃度地域を含む疫学研究の実施が必要である。また高感受性群である小児肺機能発達についても、比較的低濃度領域のPM2.5曝露との関連がアメリカの小児を対象としたコホート研究で示唆されている。同様に日本での疫学研究が必要である。

Copyright © 2011 社団法人 大気環境学会

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