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大気環境学会誌
Vol. 46 (2011) No. 2 P 77-83

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http://doi.org/10.11298/taiki.46.77

総説

大気微小粒子状物質(PM2.5)は死亡率の上昇等、人の健康に悪影響を及ぼすのみならず、視程障害や景観悪化等の生活環境の質 (QOL) を低下させる。また森林生態系への悪影響や農作物の減収が懸念される。PM2.5は都市や地域の大気環境質に影響を及ぼすばかりではなく、大気の放射収支を変えることにより地球の気候変動にも直接的、間接的に影響を及ぼす。しかし、その影響の程度はPM2.5の構成組成や立体的な分布状況等により異なるので影響評価には不確実性が大きい。日本では人への健康影響の観点から2009年9月にPM2.5の環境基準が定められたが、この環境基準制定の背景を理解するためには米国におけるPM2.5に関わる疫学調査研究や環境基準設定の経緯等、国外の動向を知ることが有用である。PM2.5は単独な物質で構成されてはおらず、発生源は人為起源や自然起源の両方にあり生成機構も多岐に亘る。影響にはガス状物質と微小粒子状物質の相乗作用が大きいと考えられるので、正確な測定による実態の把握が焦眉の急を要する課題となっている。PM2.5の対策を効果的に進めて行くためには、発生源と環境濃度の関連性を知ることが重要であり、このためにはPM2.5を含む大気環境の測定、モニタリング、成分分析やモデリングが必要となる。このような問題意識を踏まえ、本総説ではPM2.5に関わる海外の状況を米国、欧州について紹介し、加えて日本での検討経緯を概説すると共に、PM2.5の測定、モニタリングや成分分析の課題を展望する。

Copyright © 2011 社団法人 大気環境学会

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