大気環境学会誌
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沖縄辺戸岬での長期連続観測による越境大気汚染物質の経年変動
重富 陽介弓場 彬江定永 靖宗高見 昭憲畠山 史郎加藤 俊吾梶井 克純竹中 規訓坂東 博
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2012 年 47 巻 1 号 p. 45-50

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抄録

本研究では沖縄県辺戸岬にて総反応性窒素酸化物 (NOy) 等の観測データの経年変動について調査し、近年における越境汚染の影響の現状把握および評価を行った。観測は沖縄県辺戸岬の (独) 国立環境研究所 辺戸岬大気・エアロゾル観測ステーションにおいて行った。NOy, CO, PM2.5, NH4+, SO4 (HSO4- + SO42-), Org (有機エアロゾル) の化学種について解析を行った。解析対象とした2006-9年では、辺戸岬におけるこれら化学種の濃度については年毎に増大する変動は見られなかった。その一方で2008年が他年と比較して平均的に高濃度であった。また、SO4, NH4+, Orgも2008年に高濃度であった。次に、後方流跡線解析から辺戸岬に到達する気塊の由来を分類し、これらの汚染物質について気塊別に同期間の経年変動を調査した。その結果、どの汚染物質も中国由来の影響が強いことが言えるが、北京より北東の中国北部方面からの大気汚染物質の排出寄与が年々大きくなっており、北京・上海など大都市の多い中国中部方面の排出寄与の大きさに徐々に肉薄してきていることがわかった。

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© 2012 社団法人 大気環境学会
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