大気環境学会誌
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夏季関東内陸部におけるオゾン濃度への混合層の発達が与える影響
桐山 悠祐速水 洋阿波崎 たかね三浦 和彦熊谷 貴美代山口 直哉
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2012 年 47 巻 2 号 p. 81-86

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抄録

近年、日本国内においてオゾンの高濃度化、出現頻度の増加が社会問題となっている。夏季の関東地方内陸部における高濃度オゾンの発生要因としては都心部からの広域海風による輸送が主な要因であると考えられるが、過去の研究から海風の到達以前の高濃度オゾンの発生も報告されており、2009年夏季の観測データからも同様の現象が確認された。この問題を理解するため、混合層の発達による上空のオゾンの取り込みのみを考慮したボックスモデルを用いて解析を行った。その結果、正午における濃度はかなりの過小評価となり、濃度の増加傾向も観測値と異なるものであった。この原因としては化学反応によるオゾンの生成、消滅の影響が考えられる。また、赤城山におけるドップラーライダ観測とオゾン濃度の測定から、夜間山頂付近のオゾン濃度がほぼ一定でかつ風速が大きいという現象が観測された。これらより関東地方北部の上空が濃度のほぼ等しいオゾンによって覆われており、その気塊が常に内陸へ輸送され続けることでオゾン濃度がほぼ変化しない状態が実現していると推察された。

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© 2012 社団法人 大気環境学会
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