大気環境学会誌
Online ISSN : 2185-4335
Print ISSN : 1341-4178
ISSN-L : 1341-4178
原著
市街地内の気流・ガス拡散を対象とした数値シミュレーション
道岡 武信佐藤 歩
著者情報
ジャーナル フリー

2012 年 47 巻 3 号 p. 119-126

詳細
抄録

単純建物周辺および実低層市街地内の気流・拡散場に対してRANSを実行し、風洞実験値との比較によりその適用性を検討した。本数値モデルでは、複雑な建物形状を詳細に解像できるように、座標系に関係なく格子点を不規則に配置できる非構造格子の有限体積法を採用した。また、非構造格子で煙源近傍にも密な計算格子が設定できるため、ガス拡散を気流場と同様にオイラー的に解いた。RANSは比較的大きな建物の後流域において、平均速度および速度変動強度の標準偏差を過小評価する傾向にある。そのため、乱流モデル中に存在するモデルパラメータである乱流シュミット数には比較的小さな値を選択する必要がある。本解析では、乱流シュミット数を 0.2~0.5を適用した場合に、風洞実験値に比較的良い一致を示すが、乱流シュミット数はガス拡散に大きな影響を及ぼし、適切な値を選択しなければ数倍程度の誤差を含む場合がある。

著者関連情報
© 2012 社団法人 大気環境学会
前の記事 次の記事
feedback
Top