2013 年 48 巻 3 号 p. 113-122
摂取比率 (Intake fraction ; iF) は、特定の排出源から排出された汚染物質量と人が摂取する量との比率であり、汚染管理対策の検討や意思決定を容易にできる尺度として提案されたものである。わが国ではほとんど知られていないが、今日まで、主に米国や中国、欧州を中心にさまざまな研究が行われている。本論文では、iF の定義や推計方法を含む特徴を整理し、具体的な検討事例を紹介することを目的とする。排出量は既存の排出量目録などを用いて、また摂取量は大気拡散モデルを用いて推計されることが多くなっている。対象とする排出源起因の大気中濃度をどのように求めるか、などの課題はあるが、今後わが国でも、自動車排出ガスの局地汚染対策を検討する際などに用いることができると考えられる。