大気環境学会誌
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技術調査報告
2011 年度の連続測定結果に基づく全国的なPM2.5汚染の状況解析
板野 泰之大原 利眞山神 真紀子大野 隆史長田 健太郎武 直子菅田 誠治
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2013 年 48 巻 3 号 p. 154-160

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抄録

2011 年度にはPM2.5 質量濃度の連続測定が全国的に実施されたことから、その濃度レベル、日内変動、週内変動および年内変動パターンの全国的な状況をまとめた。計36 自治体、71 測定局の時間値データを解析した結果、PM2.5 の年平均濃度は9.7 22.7μg m -3 であり、39 の測定局で15 μg m-3 (1 年平均値に係る環境基準値) を超過した。日内平均値については- 35.1105.5 μg m -3 の範囲であり、東アジアからの黄砂や硫酸塩エアロゾルの影響下では全国的に35 μg m-3 (1 日平均値に係る環境基準値) を超過する傾向が認められた。一方、高濃度域が特定の地域に偏在するような汚染事例もしばしば認められたことから、国内の地域的な汚染源からの影響も示唆された。PM2.5 質量濃度の日内変動パターンはNOxのそれと比較すると極めて多様であった。 週内変動パターンには平日に高濃度となり週末に低濃度となる傾向が認められ、人為汚染源の影響が示唆された。また、春季と秋季に高濃度となる年内変動が支配的であることがわかり、9月または12 月に濃度が低下する傾向が全国的に認められた。

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© 2013 社団法人 大気環境学会
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