2013 年 48 巻 5 号 p. 215-222
2006 年4 月に大気汚染防止法が改正され、光化学オキシダント低減を目的としてVOC 削減対策が開始された。この対策による関東地域の都県別VOC 排出削減量の内訳とVOC 削減が高濃度光化学オキシダント発生に与えた影響の解析を行った。 VOC 排出量は2000 年から一貫して減少傾向を示し、物質グループ (炭化水素類、アルコール類等) 毎の構成割合は変化せずに、どのグループも一様に減少していた。しかしグループ内の個々の成分の構成比は2000 年から2010 年の間に大きく変化した。また、120 ppb を超えた光化学オキシダントの濃度、時間を年間で積算した超過積算濃度を用いて、VOC 排出量変化が高濃度光化学オキシダント出現に与えた影響を解析した。さらに、超過積算濃度を単位気温 (℃) 、日射量 (MJ/m2) 当たりで指標化した値の2005 年からの経年減少量とVOC の経年削減量の都県別相関係数を求めたところ、関東地方南部の東京都、神奈川県で相関が高く、これらの都県ではVOC削減が高濃度光化学オキシダントの低減に一定の効果があったことが推測された。