大気環境学会誌
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技術調査報告
大気汚染物質排出インベントリーEAGrid2000-Japanの年次更新
福井 哲央國領 和夫馬場 剛神成 陽容
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2014 年 49 巻 2 号 p. 117-125

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抄録

大気汚染物質の総合排出インベントリーEAGrid2000-Japanを、2005、2010年度に年次更新するため、排出実態の変化が大きい発生源に重点をおいて、新たに推計を行った。推計対象物質はCO、CO2、NMVOC、NH3、NOx、PM10、PM2.5、SO2である。基本的な方針として、排出推計カテゴリーごと(例えば自動車における車種・燃料等の区分)の活動による排出に関して、年間の全国排出量を推計し、相対的な地域分布・季節変化は2000年度と同じであることを仮定して配分する方法をとった。推計の結果、2005、2010年度ともに、汚染物質別に最も排出寄与の大きい発生源は、自動車 (NOx, CO, PM10, PM2.5)、発電所と廃棄物焼却施設以外の工業部門を中心とする大規模燃焼発生源 (CO2, SO2)、固定蒸発発生源 (NMVOC)、農業 (NH3) であった。人為起源の大気汚染物質排出量は、2000年度から2005年度にかけてCO2以外はすべて低減し、2005年度から2010年度にかけてCO2を含めてすべて低減している。NOx、CO、PM10、PM2.5は自動車、NMVOCは自動車と固定蒸発発生源の排出低減の寄与がそれぞれ大きく、排出規制の効果を反映した結果となっている。一方、NH3は農業と便槽の排出低減の寄与が大きく、家畜頭数や非水洗化人口等の活動量の減少を反映した結果となっている。

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© 2014 大気環境学会
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