大気環境学会誌
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総説
“拡散スクラバー法”を用いた大気環境計測技術と空気清浄技術の開発
田中 茂
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2014 年 49 巻 2 号 p. 69-77

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抄録

拡散スクラバー法は、ガスと粒子との拡散係数の相違を利用してガスを捕集・除去する効率的な方法である。多孔質テフロンチューブに空気を通気するとガスは多孔質テフロンチューブ内壁の孔へ拡散・浸透する。拡散したガスは、多孔質テフロンチューブ外壁に配置された水等の吸収液に捕集される。拡散係数の小さい粒子は空気の流れに沿って通過する。吸収液に純水を用いれば、様々な水溶性ガス(HCI, HNO3, SO2, NH3, HCHO等)を捕集できる。拡散スクラバーは、単にガスの捕集装置ばかりでなく、簡単に分析装置と接続できる優れたインターフェースである。IC、HPLCなどの分析機器との接続により、サブppbvレベルの空気中微量ガスの自動連続測定が実現できる。拡散スクラバー法は、環境計測技術だけではなく、有害ガスを除去する空気清浄システム等の技術としても利用できる。優れた特徴を有する拡散スクラバー法により開発された空気清浄装置が様々な産業・生活環境での有害ガス除去技術として広く利用されることが期待できる。

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© 2014 大気環境学会
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