大気環境学会誌
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オゾン誘起によるHOx (OH, HO2) ラジカル生成速度直接測定装置の開発
鶴丸 央長井 祥秀梶井 克純
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2014 年 49 巻 2 号 p. 86-92

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抄録

O3誘起によるHOx (OH, HO2) ラジカル生成速度直接測定装置の開発を行った。大気試料にO3を添加して反応管に導入し、生成したROx (OH, HO2, RO2) 濃度をPERCA/LIF (PEroxy Radical Chemical Amplification/Laser Induced Fluorescence) 法を用いて測定することで、反応により生成するHOx量を評価した。測定したROx濃度は添加したO3濃度の関数として表される。測定したROx濃度についてO3濃度が0 ppbv近傍での傾きを求め反応時間で除することによって、単位O3濃度および単位時間あたりのラジカル生成速度であるPHOxを定義した。本実験装置におけるROxの壁面消失を見積るためisopreneとO3を用いた基礎実験を行った。測定により得られたROx濃度とMCM計算モデル (ver. 3.2) により得られたROx濃度から、壁面消失を見積もる装置関数KK=0.42×[O3]0.048と決定した。測定したPHOxの値はKを用いて補正した。実大気中のNOxおよびO3によるバックグラウンドの変動を避けるため、大気試料のPHOx観測時には大気試料を一度テドラーバッグに捕集した。2013年7月の京都大学構内において、大気試料のPHOxおよびROx濃度の観測に成功した。両者は昼高く夜低い同様の傾向を示した。

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© 2014 大気環境学会
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