大気環境学会誌
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技術調査報告
東京都心地域におけるホルムアルデヒドの高濃度ピーク事象の原因
石井 康一郎松本 幸雄伊藤 政志上野 広行内田 悠太齊藤 伸治星 純也中嶋 吉弘加藤 俊吾梶井 克純
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2014 年 49 巻 6 号 p. 252-265

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抄録

多数の発生源の影響を強く受ける東京都心東部においてHantzsch法によるHCHO濃度の連続自動測定(1分値)を2010年6月から2013年1月まで行った。2012年の濃度分布状況は、日平均濃度(n=318)で年平均値3.03 ppbv、98パーセンタイル値6.90 ppbv、最高値9.99 ppbvであった。1時間平均濃度(n=7776)の中央値濃度は2.47 ppbv、幾何平均濃度は2.55 ppbv、最高値は29.7 ppbvであった。区間幅1 ppbvの頻度分布では区間1~2 ppbvの頻度が最も多く、濃度分布は近似的に対数正規分布を示した。1分間濃度が20 ppbvを超えるピーク状HCHO高濃度76事例について発生原因を推定した。その結果、CO濃度との相関のあった8事例は燃焼系固定発生源からの一次排出と、SO2濃度との相関のあった1事例は東京湾の船舶からの一次排出と推定された。CO、SO2、O3濃度との相関の低かった31事例は非燃焼系固定発生源からの一次排出によると推定された。O3濃度と相関の高かった28事例は燃焼系固定発生源からのVOCによる二次生成と推定された。COおよびO3濃度が共に相関の高かった8事例は一次排出ならびに二次生成と推定された。これらのピーク状高濃度HCHOの発生には調査地点南側近傍にある固定発生源の寄与が大きいと考えられた。

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© 2014 大気環境学会
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