大気環境学会誌
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原著
関東地方におけるNOxおよびVOC排出削減のオゾン濃度に与える影響
桐山 悠祐速水 洋板橋 秀一嶋寺 光三浦 和彦中塚 誠次森川 多津子
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2015 年 50 巻 1 号 p. 8-15

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抄録

近年、日本国内において、オゾンの前駆物質濃度は減少する傾向にあるがオゾン濃度は長期的なトレンドでは増加している。越境汚染の影響が比較的少ない夏季の関東地方では国内の発生源対策が重要と考えられる。本研究ではWRFおよびCMAQと2000年から2005年にかけての排出量減少を反映した排出量データを用いた大気質シミュレーションを行い,排出量の削減がオゾン濃度に与えた影響を検証した。その結果、2000年から2005年のNOxとVOCの排出量削減により,オゾン日中最高濃度は東京湾沿岸の一部を除いた関東全域で減少を示していた。また、NOxのみ削減した場合、オゾン日中最高濃度は東京都心を中心に増加するが内陸部では減少することが示された。VOCのみの削減では関東の全域で濃度減少が示され、VOC削減の有効性が示唆された。さらに、高濃度日に対する感度解析の結果、内陸部ではNOx sensitive あるいはMixed sensの状態を取る事が多く、一方の都心周辺ではVOC sensitiveの状態が優勢であった。この結果よりそれぞれの地域でのオゾン濃度低減に対する前駆物質の削減の有効性が示された。

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© 2015 大気環境学会
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