大気環境学会誌
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総説
微小粒子・ナノ粒子の起源・動態解明のための高感度有機分析法の開発と適用
伏見 暁洋
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2015 年 50 巻 2 号 p. 85-91

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抄録

大気中の微小粒子(粒径2.5 μm以下)やナノ粒子(粒径50 nm以下)は、人の健康に悪影響を及ぼすことが懸念されており、その起源や大気中での動態を明らかにすることが求められている。そのためには粒子の化学組成を知ることが重要だが、ナノ粒子は採取できる試料量が非常に少ないため、組成分析のためには、高感度な分析法が必要であった。従来、粒子の有機成分分析には溶媒抽出法が用いられてきたが、この方法では微量なナノ粒子中の成分を検出するのは難しいため、加熱脱着による全量導入を用いた大幅な感度改善が必須と考えられた。本総説では、著者らが取り組んできた、加熱脱着ガスクロマトグラフィー/質量分析(GC/MS)による高感度有機分析法の開発の経緯や同法に基づくナノ粒子の測定と起源・動態解析について、周辺の研究の動向をふまえ概説した。この中では、自動車から排出されるナノ粒子、加熱脱着GC/MSの特徴や限界、分析条件の最適化、GC×GC等による高度化、ナノ粒子への適用例、そして分析結果に基づくナノ粒子の起源・動態解析について紹介した。微小粒子の起源・動態に関する研究例についても簡単に解説した。

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© 2015 大気環境学会
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