大気環境学会誌
Online ISSN : 2185-4335
Print ISSN : 1341-4178
ISSN-L : 1341-4178
研究論文(原著論文)
逆推計手法を利用したNOx排出量インベントリの速報アップデート
弓本 桂也 鵜野 伊津志板橋 秀一栗林 正俊宮崎 和幸
著者情報
ジャーナル フリー

2015 年 50 巻 5 号 p. 199-206

詳細
抄録

衛星で観測された対流圏NO2カラム濃度を拘束条件に、逆推計手法を応用し、大気汚染物質排出インベントリREAS 2.1の人為起源NOx排出量を間近(2009~2013年5月)まで延伸した。衛星によって観測された中国東部の対流圏NO2カラム濃度は増加を続けていたが、2008~2009年は北京オリンピックや世界的景気後退の影響で濃度の伸びが停滞、2010年から再び増加に転じた。逆推計の結果得られたモデル対流圏NO2カラム濃度はこの年々変動(減少から増加)をよく再現した。逆推計によって推定された2009~2012年の中国人為起源NOx排出量はそれぞれ25.7、27.3、28.2、28.4 Tg/yearで、増加率は3.5%/year (0.9 Tg/year)となった。一方、REASによって見積もられた2005~2008年の増加率は7.2%/year (1.5 Tg/year)で、REASと今回の逆推計の期間(2005~2012年)の増加率は5.3%/year (1.1 Tg/year)であった。

著者関連情報
© 2015 大気環境学会
前の記事 次の記事
feedback
Top