大気環境学会誌
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総説
植物に対する微小粒子状物質(PM2.5)とオゾンの影響に関する実験的研究
山口 真弘
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2021 年 56 巻 1 号 p. 25-33

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抄録

植物は生態系の生産者として人間等の動物の生命を支えている。しかしながら、人間の産業活動によって植物を取り巻く大気環境は著しく変化しており、大気汚染等による植物への悪影響が懸念されている。これまで多くの先生方が、二酸化硫黄や窒素酸化物、酸性雨等の酸性降下物、粉じんや煤じん、光化学オキシダント(Ox)といった大気汚染物質が植物に及ぼす影響に関する研究に取り組み、それらの悪影響を指摘してきた。このような大気汚染から植物を保護するための議論を深めるために、著者は、微小粒子状物質(PM2.5)やOxの主成分であるオゾン(O3)が植物に及ぼす影響に関する実験的研究に取り組んできた。この受賞記念総説では、著者が、多くの先生方のご指導のもとで共同研究者や学生とともに取り組んできた樹木に対するブラックカーボン(BC)粒子や硫酸アンモニウム(AMS)粒子の長期影響に関する実験的研究と、気孔を介した葉の積算O3吸収量に基づいた樹木や農作物に対するO3の影響評価に関する研究を概説する。そして、長崎において取り組んできた越境大気汚染の植物影響評価に関する研究を紹介する。

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