大気汚染学会誌
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年平均NO2個人被曝濃度の短期間調査結果からの推定
柳沢 幸雄西村 肇松木 秀明逢坂 文夫春日 斉
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1984 年 19 巻 4 号 p. 292-299

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抄録
東京都杉並区の住宅地に居住する主婦10人を対象に, NO2個人被曝濃度の季節変化に関する調査を行った。1982年1月から12月までの通年調査である。被曝濃度の日平均値を, 各月連続する7日間にわたってフィルターバッジで測定した。
被曝濃度の季節変動のパターンから, 対象者を2つのグループに分けることができた。1番目のグループの対象者は, 冬に高い濃度のNO2に暴露されていた。彼女らは非排気型の暖房器具を用いていたり, 台所の換気扇を時々しか使用していなかったのが原因と思われる。2番目のグループでは, 有意な季節変動はなく, 彼女らの被曝濃度は, 1番目のグループの夏の被曝濃度にほぼ等しかった。彼女らは排気型の暖房器具を用いていたか, 非排気型の暖房器具を用いている場合でも, 燃料消費量が極めて少なかった。通年の被曝濃度データは, 正規分布よりは対数正規分布に近い分布をしていた。1番目のグループの被曝濃度と外気中のNO2濃度の比は, 測定日の最低気温に依存し, 最低気温が10℃ のところで1.5から1.0に変化した。被曝濃度の年幾可平均値は, 2月と7月の被曝濃度と最低気温が10℃ 以下の日の割合から推定できた。このようにして推定した被曝濃度と実測値はよく一致していた。
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