環境大気中に存在するリン酸トリエステル類について試料の採取方法並びに分析方法を検討した。
試料の採取は, ハイボリウムエアサンプラーを用い, ガラス繊維ロ紙の下にXAD-7樹脂を入れたステソレス製円筒を取り付けて, 吸引流速700l/分で24時間行った。採取した試料は, ソックスレー抽出器で抽出後, 酸・アルカリで処理し, シリカゲルカラムを用いて分画する。各溶離液は濃縮後N-P検出器付ガスクロマトグラフで溶融シリカキャピラリーカラムを用いて定量した。
添加回収実験は, 8種類の標準物質のアセトン溶液をロ紙上に添加して, 上記の操作を行い回収率を求めた。その結果, リソ酸トリジクロロプロピルとリン酸トリフェニルは, ロ紙上に捕集され, 沸点がそれ以下のリン酸トリブチルやリン酸トリクロロエチルは主に樹脂上に捕集されることがわかった。この方法を環境試料に適用しGC/MS-MFで同定した結果, 大気中には, リソ酸トリエチル, リソ酸トリプチル, リソ酸トリクロロェチル, リン酸トリクロロプロピル, リン酸トリジクロロプロピル, リン酸トリフェニルの存在が確認されその濃度は2~5ng/m3程度であった。