大気汚染学会誌
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ディーゼル排ガス粒子の気管内注入による肺障害と発癌
河端 美則宇田川 忠樋口 一枝山田 博之橋本 尚子岩井 和郎
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1988 年 23 巻 1 号 p. 32-40

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抄録
ディーゼル排ガス中の粒子成分の肺障害性, 発癌性を知る目的でFischer 344系SPF雌ラット肺にディーゼル粒子を10mg経気管支性に注入した。注入終了後18~30ヵ月生存例を病理学的に検索した。ディーゼル粒子注入群では粒子は終末細気管支周囲肺に存在し, この部を中心に多数の上皮過形成巣の出現をみた。肺腫瘍は42匹中31匹に37コみられ, 内訳として腺腫は11コ, 癌は26コであった。一方活性炭群でも程度は軽いが上皮過形成巣がみられ, また肺腫瘍は23匹中11匹に11コみられた。溶媒群では23匹中1匹に1コの肺腫瘍をみた。腫瘍数の頻度は上記3群間で有意差が存在した。無処置群44匹には肺腫瘍をみなかった。肺外腫瘍ではディーゼル粒子群にのみ, 無処置群に比し有意に高値の脾腫, 白血病の増加をみた。これらの結果からディーゼル粒子は肺障害性・発癌性を有していることが示された。また活性炭による肺癌の発現は, 除去しきれなかったタール成分の関与も考えられた。
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