大気汚染学会誌
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非汚染地域山間部におけるオゾンの濃度変化
宇都宮 彬土井 妙子溝口 次夫
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1994 年 29 巻 6 号 p. 332-339

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抄録

九州北部地域は, 春期にオゾン濃度が高濃度になり, この原因として, 自然起源による比率, すなわち, 成層圏あるいは対流圏上部から降下する量が多いと推定されている。大気の比較的清浄な山頂 (33.53°N, 130.57°E;標高920m) および平野部低汚染地点 (33.4°N, 130.5°E: 標高25m) においてオゾンの観測を実施し, この観測値を基にバックグラウンドオゾン濃度の長期変動, 季節変動等を明らかにするとともに, 春期および秋期に, 地上 (33.5°N, 130.5°E;標高27m) のベリリウム-7濃度の観測を実施し, バックグラウンドオゾンの濃度変動をに及ぼす気象条件について考察した。
山頂のオゾン濃度は4, 5月に44~60ppbと最も高くなり, 7月にその濃度が低下する季節変化が見られ, 7, 8月を除くオゾン濃度の変動は, 春に高く秋に低い北半球で見られるオゾン濃度変化と大まかに類似している。山頂および平野部低汚染地点のオゾン濃度は減少傾向が見られ, その減少トレンドは4.7%/年と推定された。
ベリリウム-7濃度の平均値は春期および秋期で, それぞれ (5.7±2.2) ×10-3Bq/m3および (5.1±2.0) ×10-3Bq/m3であった。上層大気の侵入または沈降により, ベリリウム-7濃度は気圧の谷および寒冷前線の後面から西高東低の気圧配置で上昇し, また高気圧前面から後面にかけて漸次増加している。
山頂のオゾン濃度は気圧の谷, 高気圧の影響を受ける気象条件で高くなり, また, 北の気団の影響を受ける気圧配置のO3濃度の方が南の気団の影響を受ける気圧配置のO3濃度より高くなる傾向が見られる。

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