1994 年 29 巻 6 号 p. A102-A110
成層圏オゾンの減少により地上に到達する紫外線が増加し, それによって植物は悪影響を受けるのではないかと懸念されている。UV-B (280~315nm) 照射量が増えると, 一般に植物の成長は阻害され, 葉面にクロロシスの発現などが見られる。また, 紫外線は植物の遣伝子損傷を引き起こすことが明らかとなり, 紫外線増加と遺伝子損傷との関係が注目されている。一方, 紫外線照射により様々な紫外線防御機能が誘導される。特に紫外線吸収物質であるフラボノイドの合成が促進され, 植物の紫外線に対する防御機能が強化される。そのため, 紫外線増加の植物への影響を定量的に測定することは困難である。