乱れの大きな都市キャノピー内での建物近傍の拡散場を明らかにすることを目的とし, 都市郊外にて立方体モデル建物を用いた野外拡散実験を行った。
都市キャノピー内の流れ場は非常に大きな乱れが存在し, 屋根面上の濃度分布は, 屋根面全体に広く平均的に拡散しており, 乱れの小さな風洞実験で得られたものとは異なっている。屋上面の瞬間濃度と速度変動との関係を明らかにするために, 高応答性の濃度分析計と2台の超音波風速計とを用いて計測を行った。その結果, 屋上の逆流と上流の組織運動の間には強い相関がみられ, また、屋上中央から排出されたガスは, 屋根面上の逆流によって上流側に輸送されていることが明らかとなった。これらは, 上流の組織的運動が屋根面上の拡散場に大きな影響をあたえていることを示唆する。