大気環境学会誌
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空気浮遊粒子中多環芳香族炭化水素 (PAH) 類の呼吸器内沈着率に及ぼす呼吸の深さの影響
杉田 和俊後藤 純雄遠藤 治町井 研士石井 忠浩松下 秀鶴Joellen LEWTAS
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1997 年 32 巻 1 号 p. 64-67

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抄録

空気浮遊粒子中の発がん関連物質の経気道曝露実態を把握するために, 大気浮遊粒子中多環芳香族炭化水素 (PAH) 類の呼吸器への沈着率と呼吸の深さとの関係について検討した。屋外において, 呼気試料はHans Rudolphマスクを用いて, 吸気試料に相当する大気浮遊粒子は低騒音型ローボリュームエアサンプラーを用いてテフロンコーテッドガラス繊維ろ紙にそれぞれ採取した。採取された呼気および吸気試料中のPAH含有量を前段濃縮型HPLC/蛍光分光検出法にて測定し, 両者の濃度から沈着率を求めた。その結果, 意識的に深い呼吸をした時のBaPの沈着率は58.5±12.7%(平均±標準偏差) で, 安静時の47.2±12.6%と比較すると約10%も高く, 深い呼吸ではBaP等を含む空気浮遊粒子の取り込み量が増加することが認められた。また, 安静時の沈着率はディーゼル排出粒子やタバコ副流煙に汚染された室内空気中粒子のそれと同程度であった。

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