大気環境学会誌
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印刷工場における有機溶剤排出防止対策III
触媒酸化法による有機溶剤の除去
矢野 壽人正田 誠
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1997 年 32 巻 3 号 p. 223-230

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抄録

某印刷工場の改築にあたり, 有機溶剤の排出防止対策を検討するため, 当印刷工場の実排ガスを対象に, ベンチスケールの触媒酸化式脱臭装置による有機溶剤除去実験を行った。
実験は4種類の触媒について, 空間速度SVをパラメーターとして反応温度と除去効率の関係を調査した。その結果, 白金系触媒は酢酸エチルに対して, マンガン+銅系触媒はトルエンに対して除去効率が悪かった。そこで, 両触媒を組み合わせて使用したところ, 除去効率が最もよくなり, SV=33000hr-1, 反応温度200℃の条件で100%近くの除去効率が得られた。以上の結果, 触媒酸化法は有機溶剤の除去方法として適用可能なことが判明した。
この結果をふまえて新工場が建設されたため, 実証テストを行った。触媒酸化式脱臭装置の除去性能を調査した結果, 入口ガス濃度は平均528ppm, 除去効率は反応温度200℃で97.9~98.7%を示し, 予想通りの結果が得られた。また, 作業環境濃度は120.9ppmと最大許容濃度147ppmをクリアーした。

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