大気環境学会誌
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厨房排水処理施設から発生する悪臭のヨウ素酸添着活性炭による除去
矢野 壽人橋本 修左米村 惣太郎正田 誠
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1997 年 32 巻 4 号 p. 286-295

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抄録

近年, ビルの地下にある排水槽から漏れる悪臭が新型の都市公害として問題になっているが, 某商業ビルの排水処理施設から発生する悪臭の実態調査を行った。また, 新規脱臭剤としてヨウ素酸添着活性炭 (D炭) を開発したので, 当施設の悪臭を対象に3種類 (A, B, C炭) の市販脱臭剤と合わせて脱臭性能の検証を行った。
当排水処理施設から排出される悪臭は, 臭気濃度が422-31, 620の中濃度臭気であった。主要悪臭物質は硫化水素 (0.076-15.7ppm) とメチルメルカプタン (不検出-0.081ppm) であり, 硫化水素の臭気濃度に対する寄与率は約90%と非常に高かった。主要発生源は原水槽と加圧浮上槽であると推測された。臭気総排出強度は104.9-105.7Nm3/minであった。
脱臭剤の性能検定は固定層吸着装置を用いて行ったが, 臭気濃度と硫化水素の破過時間を評価指標とした。いずれの脱臭剤も接触時間と破過時間の間に相関が認められ, 接触時間が0.50secの場合, 臭気濃度 (吸着装置入ロガス平均臭気濃度: A炭, B炭の場合は2,500, C炭, D炭の場合は5,920) による破過時間の長さは, D炭 (6,300hr)>C炭 (5,600hr)>B炭 (3,600hr)>A炭 (2,600hr), 硫化水素による破過時間の長さは, D炭 (6,000hr)>C炭 (5,800hr)>B炭 (4,500hr)>A炭 (2,800hr) の順になり, ヨウ素酸添着活性炭の有効性が認められた。

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