大気環境学会誌
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軽油性状のディーゼルエンジン排出物質への影響 (1)
硫黄分, 芳香族分が粒子状物質と半揮発性物質の性状に及ぼす影響
中島 徹佐々木 左宇介河合 昭宏小林 伸治坂本 和彦
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1998 年 33 巻 4 号 p. 250-261

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抄録

粒子状物質による大気汚染の改善のために, ディーゼル車の排気について軽油性状の改良による低減が検討されている。ディーゼル車から排出される粒子状物質には中高沸点の炭化水素や多環芳香炭化水素 (PAH) などが含まれることから粒子状物質排出量の低減だけでなく, 粒子状物質やガス状物質 (特に半揮発性物質) の性状変化にも留意が必要である。本研究では, 燃料中の硫黄 (S) 分を低減した場合と, 芳香族の割合を変化させた場合について, ディーゼルエンジンを用いて粒子状物質と半揮発性物質の化学的・生物学的な特性を調べた。その結果, 燃料中のS分の低減により粒子状物質排出量は減少したが, S分の粒子状物質や半揮発性物質の性状への影響は少なかった。一方, 燃料中芳香族分の増加では粒子状物質排出量が増加し, 粒子状物質の性状が悪化すると推測された。半揮発性物質排出量は粒子状物質排出量よりも約5~15倍多く, S分の低減による顕著な影響は見られないが芳香分の増加による性状悪化が見出された。

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