大気環境学会誌
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臭化メチルによる検疫くん蒸の実態と排ガス回収・分解技術の要件
浦野 紘平木村 ちづの加藤 みか小林 剛
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1998 年 33 巻 5 号 p. 322-334

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抄録

臭化メチルはオゾン層破壊物質であるが, 検疫くん蒸用途は規制対象外であり, 今後も消費が続く。文献, ヒアリング, アンケートなどの調査により, 検疫くん蒸の実態と排ガスの回収・分解技術開発の必要条件を調べた結果, 次のことがわかった。
1) 検疫用消費量のうち, 木材用が半分以上, 穀類等用が約3割, 残りが青果物等用であり, 木材用, 穀類等用の技術開発を優先すべきである。2) くん蒸後の施設内濃度と1回のくん蒸処理後に回収と分解の対象となる臭化メチルの量は, 天幕木材くん蒸では約5,000~10,000ppm, 約50~270kg (5~15天幕), サイロ穀類等くん蒸では約1,000~7,500ppm, 約17~46kgまたは約110~260kg, 倉庫穀類等くん蒸では約1,000~7,500ppm, 約6~45kg, 倉庫青果物等くん蒸では約6,000~12,000ppm, 約4~59kgと推定された。3) 回収・分解装置の設計に当たり, 回収や分解の作業時間, 排ガスの湿度, 電力, 水, スチームの供給, 装置の移動性等を考慮する必要がある。4) 回収技術の研究例には吸着法と冷却法があり, 分解技術には高温分解法, 薬液法, 触媒酸化法, オゾン酸化法, プラズマ分解法があるが, 作業性, 経済性のより高い回収・分解技術の早急な開発が必要である。

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