大気環境学会誌
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アスコルビン酸合成不能ラットにおけるオゾンの毒性に及ぼすアスコルビン酸投与の影響
深瀬 治荒木 万嘉藤原 月美後藤 操
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1999 年 34 巻 4 号 p. 272-281

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抄録

アスコルビン酸の栄養状態とオゾンの影響との関係を明らかにするため, アスコルビン酸合成不能ラット, ODS-ラットをアスコルビン酸濃度0~10g/Lの飲料水で3週間飼育後1ppm, 4時間のオゾン暴露を行いその影響を検討した。
1. オゾン暴露による気管支肺胞洗浄液 (BALF) 中のタンパクの増加はアスコルビン酸投与量に反比例し, アスコルビン酸による防御効果が認められた。一方, オゾン暴露によるBALF中のマクロファージ数の減少傾向にはアスコルビン酸投与の影響は認められなかった。これらの相違には, 肺胞被覆層のアスコルビン酸の防御作用が関与すると考えられた。
2. 肺のアスコルビン酸はオゾン暴露によって減少し, 減少量はアスコルビン酸投与量に比例した。肺組織よりもBALFのアスコルビン酸の減少の程度が大きく, またBALFでは酸化型アスコルビン酸の比率が増加した。肺胞被覆層におけるアスコルビン酸によるオゾンの還元作用が推察された。
3. オゾン暴露によって肝のアスコルビン酸が増加し, また副腎のアスコルビン酸が減少した。オゾンのアスコルビン酸への影響は肺に留まらないことが示された。

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