大気環境学会誌
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関西地域における春季高濃度汚染の数値シミュレーション
(1) 数値モデルの構築と立体観測データによる検証
大原 利眞若松 伸司鵜野 伊津志神成 陽容
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2001 年 36 巻 4 号 p. 208-230

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抄録

大阪を中心とする関西地域において, 春季に発生する二酸化窒素NO2などの高濃度汚染メカニズムを解明するために, 1993年4月に航空機観測を含む特別観測が国立環境研究所と関西地域の地方自治体によって実施された。観測期間中には二酸化窒素とオゾンの両方が高濃度となる汚染状態が発生し, これらの物質を含む多種類の汚染物質の動態を航空機, 生駒山および地上における立体観測によって観測することに成功した。本研究は, この高濃度状態の再現を目標とした数値シミュレーションモデルを構築し, 立体観測データによって総合的に検証したものである。
構築した数値モデルを検証した結果, 地上の常時大気測定局で測定されたNOx, NO2, Ox (O3), SO2, NMHC濃度の時間変動がモデルによって良好に再現されること, 航空機観測結果などによって得られた多種類の物質 (NO2, O3, VOC成分等) の鉛直濃度分布がモデルによってほぼ再現されること, 生駒山で測定された濃度時間変動もモデルによって説明できること, サルフェイトに関してもバックグラウンドが高いもののモデルによってほぼ再現できることなどが明らかとなった。これらの結果から, 本研究で構築した数値シミュレーションモデルによって, 観測された高濃度エピソードにおけるNO2をはじめとする多種類の汚染物質の動態をモデル化できたと考えられる。

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