大気環境学会誌
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乾性沈着モニタリングにおける4段ろ紙法の技術的評価
玉置 元則平木 隆年藍川 昌秀西川 嘉範田口 圭介松本 光弘
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2001 年 36 巻 5 号 p. 308-317

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抄録

酸性雨の生態系への影響などを評価する際に不可欠である乾性沈着量を見積もるため, 大気汚染物質濃度を把握する手法の一つである4段ろ紙法 (F0-F3) を改良するとともに技術的な評価を行った。粒子捕集用の1段目 (F0ろ紙) には0.8μmのポリテトラフルオロエチレン (PTFE) ろ紙を用いることでほぼ完全にガスと粒子を分別することができた。2段目 (F1ろ紙) にはHNO3を選択的に捕集するポリアミドろ紙を使用したが, HNO3以外にもSO2, HCIおよびNH3が部分的に捕集された。3段目 (F2ろ紙) にはHNO3以外の酸性ガス捕集用に炭酸カリウム含浸セルロースろ紙を用いたが, ここではSO2とHCIが捕集された。リン酸含浸セルロースろ紙を用いる4段目 (F3ろ紙) ではNH3のみが捕集された。そのため, SO2とHCIはF1とF2ろ紙上の成分の合計量, NH3はF1とF3ろ紙上の成分の合計量として算出する必要がある。詳細な測定マニュアルを作成し, 精度管理を的確に行えば, 4段ろ紙法は乾性沈着量の面的な広がりなどの把握のために使用しうる。

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